一般物価がたえずあがり、また税金がふえる一方で、賃金の上昇がそれに追いつかぬ庶民の生活は苦しい。とくに家賃は、家計費の中で大きな比重を占めているだけに、借家階層にとって、その値上がりが生活を圧迫する度合いは大きい。過去の物価指数の伸びを家計費目別に見てみると、所得の上昇を上まわって、家賃、地価、教育費などの伸びがいちじるしい。したがって、家が借家で、学齢期の子どもをもつ家庭では、物価上昇のあおりをもろにかぶることとなる。
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それゆえ、何かを節約してつじつまをあわせないと生活は成り立たない。こうした生活費のしわよせを、いちばんうけやすいのが住居費である。教育費を見ると、戦前、高校・大学教育はごく一部の層のものであったが、いまは高校教育はおろか、大学教育すらも普通教育となりつつある。こうした社会的風潮の中で、教育費を切りつめ学校へ行かせるのを断念して、よい住宅に住みたいという志向は、あまり出てこない。食費については、その節減におのずと限度があり、さらに衣服費においても都市生活の中では身なりにある程度の出費はさけられない。こうして生活のしわよせは住居費にかぶさり、衣食住の中で犠牲とされる状況が生まれてくる。しかし、どのように小さな家に住もうと、最低限の負担というものがあり、しかもその額はけっして小さくない。だから家計は、きわめて余裕のないものとなる。都市生活者にとって、持家であろうが借家であろうが、住居費負担の家計におよぼす影響は大きい。ローン返済のため、あるいは家賃支払いのため、家計を切りつめたり共働きをはじめたりする。とくに持家については、平均的サラリーマンであれば、妻の働きがなければローン返済は不可能に近い状況になっている。