暖房装置としての暖炉は実に効率が悪い。それは燃焼によって発生する熱の大部分を煙突から屋外に逃してしまい、室内にはわずかの輻射熱を放散するだけなので、それ一つで部屋全体を暖めるのは難しい。だから暖炉は現代の暖房システムの中ではあくまで補助的、付加的な役割を持つものと考えざるを得ない。つまり今日では暖炉は贅沢品の一つに数えられるだろうが、それは暖房装置という枠内で考える限りそうだということであって、家というものを、室内気候その他の物理的環境の整備にとどまらず、心のよりどころとしての精神性をも加味してとらえるならば、暖炉は虚飾的な贅沢ではなく、真の豊かさとしての贅沢なのではないかと思う。
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暖炉をつくるにはたしかにかなりの費用を要する。しかし、暖炉というものは、一度つくってしまえば、半永久的に使える。メカニックな暖房装置や、車やオーディオなどとは違って、時と共に陳腐化することはない。そのうえ、生活の中から発生する可燃ゴミを週末の夜に燃やす程度なら、維持費もほとんどかからないことを考えると、暖炉は十分に投資に値する生活装置であると言えよう。