理屈と膏薬はどこにでもつくと言われます。日本の住宅が高いということは、以前から言われていたのですが、そういう声があがると、住宅業界は、・手抜きのない、いい仕事をするから・長く修行を積んだ大工でなければ建てられないから・釘で打つだけの簡単な工法ではないから・日本は湿気が多く、アメリカの建て方ではすぐにダメになってしまうから・職人不足で人件費が高いから等々、住宅の価格を論理的には検証せず、思いつきの言いわけを繰り返してきたものです。「手抜きのない、いい仕事」とみずから主張するのがさすがに気恥ずかしくなると、「長い修行を積んだ大工が必要」「工法が複雑」、建築材料や工法の変化で、大工の腕が以前ほど問われなくなると、「湿気」だの「職人不足」だのと言いだすわけです。日本の住宅が高い理由は、じつはまったく別なところにあります。これについてはおいおいとふれていきますが、たとえば一九八五年以降の新設住宅の坪単価の上昇をこれらの言いわけから説明することはできないでしょう。たしかに、この時期は地価が急騰しましたが、住宅の建設費の急上昇ぶりは、物価指数とくらべてもうなずけないものがあります。悪く勘ぐれば、バブルに便乗値上げしたといえるかもしれません。どうも我々日本人は、自分で十分理解していないものについては、自分の持っている情報と知識の範囲内で結論づけてなんとなく納得してしまい、そこで議論を終わりにしてしまう癖があるようです。その癖が、いまの日本の住宅がかかえる根本的な欠陥を作りだしてきたともいえるのです。
[参考]
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